黒本

オラクルマスターの資格を取るために黒本を読んだ。
合格するためにひたすら読んだ。
通勤電車で睡魔と戦いながら読んだ。休日には、喫茶店でコーヒーを飲みながら読んだ。また、会社で暇な時に、これを読むのも仕事のうちと言い訳しながらも読んだ。
文字の量はそれほど多くないけれど、分厚い外見と、未経験者にはピンとこない文章は好きになれなかった。しかし、それでも、何度か読んでいれば、わかった気になってしまう。試験にも受かってしまう。受かるんだからしょうがない。それがいいとは思わないが。

Oracle関連の仕事につき、最初のうちは、黒本とグーグルでなんとかしのいでいた。黒本が役に立ったかは覚えていないが、黒本で調べている姿がまわりの人の情をさそい、それに助けられていたのかもしれない。だが、いつまでもそんな状態が続くわけもなかった。黒本で調べてもわからないことは多かった。また、知的好奇心につき動かされながらグーグルで検索していると「なに遊んでんの。」と言われるようになった。オラクルマスターの試験で点は取れても、ここでは全く点数が取れなかった。
そのうち、それらに変わるものとして、KROWNとORACLEマニュアルを教えられた。
当たり前の話だが、資格の勉強ではなく仕事なのだから、黒本やグーグルではどうにも力不足だというのがわかってきた。
突然現れたそれらの持つ情報量の多さに多少嫌な気分にもなったが、慣れてしまえばかなり心強いものだった。今では、さらに、ベンダーサポート問い合わせも使えるようになった。
ただ、使えない人間代表みたいな状態に変わりはなく、いつはずされるかという不安はずっと消えずにいた。